パーソナルモビリティを「モーターショーの華」で 終わらせていいのか!

人のコントロール機能には限界がある

WHILL 「車いすでもカッコよく街中を動き回りたい!」そんな要望に応えて開発された「WHILL」は、車いすを次世代のパーソナルモビリティとして捉え、福祉機器のネガティブなイメージを払拭することに成功した。日本では年間5000人が脊髄損傷等の理由で車いす生活となる。その約半数が交通事故によるものだ。彼らはもっと自由に動き回りたいと願っているのだが、現在の車いすではそのような気持ちにはなりにくい。その悩みを解決するべく、次世代のパーソナルモビリティ「WHILL」の開発が始まったのだ。スタイリッシュなWHILLを既製の車いすに装着すれば、行きたい方向に力を加えるだけでその方向に進むことができる。またモーターをタイヤの中心に結合することによって自由度の高い動きを実現している。技術的には最大で時速20キロまで出すことができるが、国によって車いすの最高速度が定められているので(日本では時速6キロまで)、それに合わせて制限したものを開発できるとしている。(出典:WHILL)


Permoveh 高齢者や足の不自由な人にとって、車イスや電動移動装置は生活に欠かせないものだが、家、病院、オフィス、街中などで利用する場合、従来の手段では移動性に難がある。真横移動や切り返しなしで斜めに移動することができないからだ。日常生活で切り返しスペースが確保できないような狭い室内や混雑したエレベーター内のような空間では苦労するケースが多々ある。こうした課題に、京都大学大学院 工学研究科の小森雅晴准教授は、真横にもどの方向にも移動できる「Permoveh」を開発した。人と同じようにどの方向にも移動でき、向きを変えることができることから、周囲の人と調和して移動できるパーソナルモビリティとして利用することが可能だ。また、この技術は工場や倉庫での移動車両や搬送車、コンベアなどにも応用可能だとしている。(出典:京都大学)

この場で縦割り行政の弊害や、何よりも公平性という大義を重んじるがあまりに慎重過ぎる法規制の現状を論じるつもりはない。
が、解決の糸口さえ掴めない悲惨な通学時などの死亡事故(事件もある)などをみると二つの問題点が浮上する。一つは事故原因のほとんどは運転側の人的ミスによるものであること、そしてもう一つは一部の劣悪な道路交通環境にあるように思える。

理想を言えば、人、自転車、自動車は道路上でセパレートされれば前述のような事故は飛躍的に減少するだろう。しかし現実には狭い歩道を人と自転車が共有し(つまり時速2~4キロと10~30キロが混交)、車道は自転車(右側走行などのルール無視が顕著)、バイク、乗用車、大型トラック、公共車両などが並走している。都市部の自治体、警察はさまざまな策を講じてはいるが、決定打は今のところ見当たらない。

パーソナルモビリティにしろ超小型モビリティにしろ、どうやら重要なことは、

  • 現状の道路交通環境の中で、どれほど(安全面や経済面などで)付加価値や意義を見出していけるのか。
  • 現状の道路交通環境の、どこの何を変革することで人の安全とスムーズな移動を確保できるのか。
  • その場合、行政は民間などに何を求め、何を支え、何を変えていけばいいのか。

ではないだろうか。

人のコントロール機能にある種の限界があるとすれば、高度な技術でコントロールされたパーソナルモビリティや先端技術に支援機能を担わせ、人や車両の移動インフラはそれらとの共存を図った方が、はるかに安全なり確実性が実現できるのではないか、とも思うのである。
自動車メーカーや、最近ではロボット企業までもが先端移動体の技術提案をするようになって久しい。そろそろプレゼンテーションの時期は終わらせ、実態を創造し、再び世界に冠たるモノ作りニッポンを形成していく時ではないだろうか。

法規制の基本とは、何より区別なく生活者優先であるべき、が自然と考えるのだが・・・・・。