家庭用プリンターで刷った紙一枚が、数億ドル規模の自動運転を揺さぶる――。看板の文字に従い誤作動は最大95.5%、平均87%超。知能化した車両の足元で、事業の前提が崩れ始めている。
日本ではほとんど見かけなくなったが、かつては幹線道路の脇で、ヒッチハイカーが行き先を書いた紙や段ボールを掲げていた。通り過ぎる車に向けて合図を送る。乗せるかどうかは、運転席にいる人の判断次第だった。無視するのも、手を差し伸べるのも、その場の気分や責任感に委ねられていた。
この「読むが、従う義務はない」という関係が、自動運転車では崩れ始めている。
路上に置かれた文字が、車両の意思決定に直接入り込む。内容が実行可能で、それらしく理由づけされていれば、車載の知能はそれを正当な指示として扱ってしまうからだ。人間なら半ば冗談やノイズとして処理する情報を、機械は律儀に意味のある命令として解釈する。
自動運転車を8割の確率で誤動作させる方法とは? その脆弱性を考える (メルクマール)